刺青
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深い眠り (35)

「珍しいね」
 ソープ街の小料理屋を久しぶりに覗く。
「シオンちゃんは?」
「堅気の仕事に就いたよ」
「ならボーイさんも考えないとね。セックスだけで続くのは若いうちだけさ」
 妙に二人で頷いてがら空きのカウンターに掛ける。朱里は熱燗で私は中瓶ビール。
「今日は社長のところに何をしに?」
「やばい融資を相談しに来た」
「そんなのあるの銀行で?」
「危ないことをする人と組んでしまったからな。でも自分らしい。朱里を抱くのと同じくらい危ない」
「それはそうよね」
「元々銀行員など向かない。道を間違えた。今回の融資をやると崖っぷちに来る予感がする。でもやるだろうな」
 朱里は私と会う時は黒縁眼鏡をかけない。隣に入ってきた2人連れが朱里の横顔をちらちら見ている。おそらく『末広』の客だろう。
「私はやりまくって自殺するだろうと思っていた。首絞めてやるのって最高」
「殺す役目は嫌だな。仁王と朱里の心中で残されるのは寂しいよ」
「なら私をどこに連れて行ってくれる?」
「もうすぐ見えてくる」
 不思議に部屋に戻った二人は裸で抱き合ったまま何もしないで眠ってしまった。今日は抱いているだけで深い眠りが訪れた。





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保全 (34)

 稟議を書き始めたがどうも不動産会社の肩代わりの20億はペンが走らない。クリエイトの方は親会社のワールドの保証で問題はない。それで仲の悪いと言う英会話の社長にアポを入れた。社長室に入ると朱里がコーヒーを運んでくる。不思議そうに見ていると、
「この子ね。今月から社員なって貰って起業塾の面倒を見てもらうことにしたわ」
 朱里は頭を下げて出ていく。
「黒縁眼鏡何とかしなさいと言ってるんだけど」
「ところで例の不動産会社の女社長のことですが?」
「融資をするの?止めておいた方がいいわ。元々起業塾にいたのよ。その頃は地元の銀行の会長が塾頭だった。私達もいろいろ面倒見てもらっていた。それが5年前に亡くなられて今の息子が頭取になったのだけど、無能が歩いていると言われるぐらい。それで私達のメンバーも都銀に流れて行ったわ」
「会長の後は?」
「息子は知らんぷりで今の専務が時々顔を出してたわ。その頃からあの女陰で専務と会っていたようなの。たった5年足らずで150億ほどの融資を受けたそうよ。それで塾長なしで来ていたのだけど、彼女が名乗りを上げて私と一騎打に。元々解体屋の娘なの」
「専務が牛耳ってるのですか?」
「頭取になるのも時間の問題よ」
「あの会社の値打ちのある持ち物はどうですか?」 
「そうね。銀行の本店の裏の飲み屋街かしら。底地はファイナンスが出しているけど上物は地上げ中でもう4年もかかっているわ。あそこは上がれば銀行が本店のビルの建て直しで購入するもの」
「いい話を聞かせてもらいました」
 ビルの外に出ると朱里が待っていてメモを渡す。








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噂 (33)

「知った子が入らなかったか?」
「いえ、どこかのOLみたいでしたよ」
 廊下ですれ違いざまに支店長が声をかけてきた。後ろでユミがベロを出している。
「債務超過臭いですよ」
「そうか。高く売れるな」
と独り言を言って机に戻っていく。私は融資書類を鞄に入れてクリエイトを訪ねる。社長が来客と応接室からちょうど出てくる。
「ちょうどいい。相談に乗ってくれないか?」
 今の先が持ってきた封筒だ。
「これは親父の知り合いが内緒で処分すると言うのだ。本業は鉄工業者だがラブホで負債清算するようだ。7軒だがまとめて買値を出してくれと言っている。親父の話では12億は下らないとのことだ」
「そちらでは難しいと思うからまたファイナンスでも持ち込んでくれないか?ところで仁王は買い物だ」
「脅しか?」
「いや羨ましい」
「ところでこの不動産会社知ってるか?」
 あの持ち帰った融資先を見せる。
「神戸では有名なバブル会社だ。地元の銀行が系列ファイナンスを含め180憶もここ3年で貸している。英会話の女社長が最も嫌がっている女社長だぜ。専務の女だとの噂もある。要注意だ」
 これは支店長は金のバックも考えている。
「そのホテルの資料2部コピーを取ってくれないか?」
「考えてくれるわけだ」
「親会社の保証は頼みますよ」







 

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肩代わり (32)

 珍しく夕方から私を同行して三宮の合併先の本店に行く。どうも合併の手伝いも支店長の大きな仕事であるようだ。2時間ほど総務部長と調整を行ってそれから車で北野のレストランに向かう。
「今回は専務と本店営業部長が来る。融資限度額を超えた取引先の一部肩代わりだ。大蔵検査で毎度指摘を受けている。だが本店の大口先で拒めないそうだ」
「断りもありですか?」
「断れない。でも何が問題かを見極めてほしいんや」
 こういう融資は好きではない。
 レストランのテーブルにはすでに年配の男性が掛けている。すぐに封筒が開けられ簡単な説明を本店営業部長がする。だが私は融資資料を捲る。これは上場企業だが債務超過臭い。ここにすでに95億も融資をしている。
「取りあえずこの物件で20億の肩代わりをお願いしたい」
「一度持って帰って」
と支店長は言っているがやる気でいる。向こうも承知なのか封筒を渡すともう女の話をしている。どうもこの合併の癒着元は支店長のようだ。そういう意味では前回の左遷を食らった融資もこの銀行の先だった。
「今日は新鮮なところに」
と支店長が先導して車に乗る。シティホテルに入りホテルキーを各人に渡す。
 なんと部屋に銀行の制服を着たユミが座っている。
「今頃支店長慌ててるよ。私と入るものと決めてたから」
「どういうことだ?」
「現役のOLを集めたのよ。支店長にはデパートの子が入った。でもこの制服でやるのは燃えるわ」





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一つになる (31)

「英会話は首かしら?」
「心配しないでいいよ。彼は喋らない。だが五月蠅くなるな」
「客で入った人なの。怒ってない?」
「分かっている。そんなの気にしてないよ」
 港の見えるホテルに入る。
「刺青は?」
「まだ滲みるけど疼きを耐えるよりまし」
と言うなり裸になって仁王を見せる。
「綺麗だな」
「銀行の方は大丈夫なの?」
「いずれ辞める。出来たら朱里と仕事がしたいな」
「英語の他は抱かれることしかできないよ」
 もう喉奥まで私のものを押し込んでいる。喉仏から食道まで達しているのがわかる。顔が真っ赤に充血する。抜こうとしてもお尻を両手でしっかりと抱きしめている。その状態でゆっくり出し入れをしている。いつもの白目に変わり同時に果てた。顔を揺するとゆっくりと目が開く。それから唇から白い液が流れ出す。
「まだ」
 もう一度含まれるともう回復している。最近は私のものは完全に朱里に支配されている。セックスの時はシオンの顔になっている。今度は私を跨ぐように座って指でアナルに導く。体を揺すりながら根元まで深く刺し込んで精液の匂いのする唇を絡めてくる。
「まだよ。私の体から兄さんを追い出すのよ。兄さんの場所は私の背中。私の性器は周作にあげるの」
 朱里の肩から神戸の港の灯りが見える。


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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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