刺青
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公式テンプレートを元に作成しています。 再配布は禁止ですが、それ以外はご自由にお使い下さい。

ラブホファンド (65)

「体はどうだ?」
「少し良くなったみたい」
 朱里と並んで元町から会社まで歩く。いつ白血病の口火を切るのか悩んでいる。朱里がそこまで隠しているには訳があるのだ。
「今日は地元銀行の専務と飲むから先に寝ていてくれ」
 別れると社長と打ち合わせをする。2人の取締役に反対されているラブホファンドの設立を企画している。今後銀行からの借り入れが難しくなると判断したのだ。そのために社長は連日証券会社に出かけている。私は銀行とファイナンスを回っている。
「今回は融資ではなくて資本参加だね?」
 中華料理を食べながら専務になった本部長を接待する。書類はすでに審査部に提出済みだ。
「一応銀行2行、ファイナンス2社、証券会社1社に資本金をお願いしています。資本金としては合計2億からの出発を考えています」
「相変わらず大胆だな。企画書を見たが面白い」
「今日はSM館でどうですか?」
 今日のために裏口から部屋を押さえてある。ユミに指名を入れている。ユミには仁王が本番をしないことを頼んでいる。
「ジョージか?」
 事務所を覗くとまだパソコンにかじりついている。
「いつものところで1杯やるか?」
「面白い話がありますよ」





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白血病 (64)

 昼に元町で中華料理を元暴走族の女とユミと私で食べることになった。ユミ曰くどうも今のレッドソックスからこちらに移りたいようだ。
「薬を使ってるそうね?」
「それで客から首を絞められて危なかった子がいるの。それに外人が多くて病気が心配」
 私が紹興酒を2人に注ぐ。
「ところで暴走族のヘッドは交通事故ではなくて病死だとブログに書いていたそうだけど?」
「ええ。走っている途中にズレ落ちたの。それで慌てて救急車を呼んだ。私後ろについていたから。カーブを曲がる時にそのまま倒れた」
「そんなことってよくある?」
「あの頃は体調が悪かったみたい」
「妹は後ろに乗っていた?」
「その頃はヘッドが後ろに乗せなくなっていたわ。それでその時も後のバイクの後ろに乗っていたと思う」
「自覚症状があったのかしら?」
「それで?」
「病院に入った時は息が切れていた。妹が最後に救急車の中でお別れしたと言っていた」
「病名は?」
「白血病だって」
 白血病!?この名前は母親の病死の話で聞いていた。ひょっとして朱里も!?
「ユミ、しばらく内緒にしてほしい」
「分かった」





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屋台 (63)

 体調が戻らない朱里は9時のショーを終えて帰った。最近はユミに言われて客の氏名も受けない。前回の刺青の腫れもなかなかひかない。私は顔を見る度に病院に行くように言っている。それで私を避けている風がある。
「ユミも行けるか?」
 時々10時過ぎにSM館の路地の奥の屋台に集まる。
「最近支店長がちょっかいかけてきているの」
 とユミが言いジョージが後を繋ぐ。
「レッドソックスは全額で2億ほどの金がかかっていますが、手持ちは1億で銀行を回ったが借りれず、結局華僑の有名どころから高利で引っ張ったようです。それであちこちの女の子を引き抜いていますね」
「こちらも2人引き抜かれたよ。でも私や仁王にも声をかけるって信じられんわ」
「支店長自身が?」
「それはないわ。暴走族や愚連隊を使っています。だから彼らの女がたくさん店に入っているようです。店では薬でやるのが流行っているので警察も目をつけています。そうそうあの元暴走族のブログの女もこの店に入りました。もちろん近々に例の件で会う約束はできています」
 ジョージに朱里の兄貴の病死の件を調べてもらっている。焼き鳥の串を同じ皿に入れて3人で抓みながらビールを飲む。
「代理」
 ユミはまだ癖が治らない。
「これから抱いてください」
「ジョージがいるのに?」
「ジョージは男の彼女がいますから」




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派閥 (62)

 昨日は仁王の刺青の日で帰って見ると熱が出ていて朱里は店を休んだ。今日は朝から初の支配人会議で物産の会議室を使うことにしている。まだ半年もならないが既にラブホは60棟を超えた。それぞれに支配人がいるが引き取り時のそのままの支配人が大半だ。これからどう絞っていくかが問題だ。
 取り敢えず5店~8店にブロック長を今回置く。これは店の規模と支配人の個人評価で決めた。やはり不満がある。それに本部の幹部自体がまとまっていない。元々ソープから来た生え抜きの財務担当の役員は急激な拡大に反対している。それに親会社から来た総務担当役員が親会社がという調子で五月蠅い。だから社長はつい私と物事を強引にはかろうとする。私は無役の部長だからまさに窮屈だ。
 3時間の会議を終えて事務連絡になって閉口して社長が私を連れだしてSM館のグラブに行く。この時間はショーはやっていないので、ラウンジのムードだ。出勤している女の子だけを指名できる。
「どうだ?」
「それぞれ癖がありますね」
 ブロック長の中から側近の幹部を選ぼうというのだ。二人がブロック長の評価をテーブルに置く。
「やはりこの3人だな」
 こういう業界は人材が集まらないのだ。それに原則ホテル売買とともに人がついてくるのだ。自社で教育した社員を持つ世界ではない。それをやろうとするから大変だ。
「それはそうと、支店長やばい店の権利を買ったぞ。君は神戸に来たばかりだから知らないが、レッドソックスはソープでは有名店だ。だがあそこはやくざと縁が強すぎる。SM館の最大ライバルだ」
「ジョージに調べさせます」
「それといい時点で君も役員になってもらう」
 





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兄の死因 (61)

「昨日支店長が来てて仁王を指名したわ」
 社長に広島のホテル購入を稟議してSM館を覗いた。ユミが珍しく一人で給料計算をしている。経理は今日は銀行を回っているようだ。朱里は兄さんの墓参りをしてからくるという。どうしても私に会わせてくれないのだ。
「その話は聞いてないな」
「支店長、12万でセリ落としたのよ。そろそろやめさせたら?私なら我慢できない」
「それを認めることで同棲を始めたのだからな」
「ちょっと気になることがあるの」
 ユミはパソコンを操作してお気に入りブログをアップする。『暴走族だったころ』というブログで27歳のモデルが顔出しで書いている。
「ここにその頃の写真がアップされている。彼女は総長に対して片思いしていて色々書いている。これの写真に写っている総長のバイクの後ろに乗っている子見てよ?」
 目隠ししているが拡大すると間違いなく朱里だ。
「仁王の兄貴は交通事故で亡くなったと私も聞いていたんだけど?」
「私もそう聞いている」
「それがねえ、彼女は総長が病気で亡くなったと書いている。ジョージがこのモデルを知っているので会えるように手配してもらっている」
「なぜ交通事故だっと言っていたのかな」
「それを聞いてみるわ」
「しばらく内緒にしてほしい」
「いいよ」






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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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