刺青
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梁山泊(129)

 新社長にワールドの赤字体質を伝え体質改善の提案をした。それに合わせてSM館の社長をユミに変える話を簡単にした。それで今日は昼から臨時の役員会を開くことにした。朱里には社長交代の話はしておいた。朱里、ユミ、マホ、ジョージ、爺さんに出席してもらっている。
「ここだけの話だがワールドは思ったより重症だ。これからはこの会社単体で事業を見つめていく時だと思う」
 私は平役員だが実態は社長だ。
「今回で朱里は代表を降りて平役員になる。ユミが代表だ」
「そんなの自信がないわ」
「お願いよ」
 朱里が頼み込んでいる。
「マホとジョージに新たに役員に入ってもらう。それで爺さんは監査役、これでいくからな。ショージから提案がある」
 彼とは合間を見ていろいろ話を交わしている。
「風俗誌を関西版と関東版に分けます。すでに働いてくれている関東の人間に事務所を見つけてもらっている。社員は関東2名と関西4名にフリーのライターが20名で行きます。関西はSM館の裏のビルに入ります。隠れ家には近いですから」
「少しバタバタで遅れていたが関東でラブホを16軒買う手はずになっている。この先は爺さんが見つけれ来てくれた」
「私からも提案がある。SM館の下部組織として動かしてきたけど、ここを中心にクラブを作ろうと思っている」
 これはデリバリーサービスというのだ。元々ユミはここから育ってきた。
「早急に企画書と予算案を出してくれ」
 お開きになると待っていたように店の女の子たちが飲み物と大皿を運んでくる。ここは風俗の梁山泊だ。







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保釈(128)

 新社長と3男は銀行から取引先に挨拶回りをしている。未払いの送金をすべて済ませた。ホテルの管理契約を戻し未払い金を払った。これで資金繰りが旨く回る。弁護士に次男の状況を聞く。初犯で売人の主犯が捕まらないのでこれ以上時間はかけないだろうといこと。執行猶予の可能性もあるとのこと。取り敢えず保釈の手続きをお願いした。

 警察に次男の面会に行く。
「怒ってるだろう?」
 むすっと座った次男に声をかける。
「マホはいい女だったな」
「あれは男さ。保釈金を積んだ。これからどうする?上海に帰るか?」
 それには返事をしないで私が無言で渡した携帯をとる。上海の専務に繋がっている。次男は小声でうんうんと頷いている。それから私に携帯を返す。
「親父の了解は取れた。条件は飲む。資本金は?」
「明日でも送れる」
「金庫のぶつはしばらく預かっていてくれ」
「心配じゃない?」
「あれを触るほど君は馬鹿じゃない。社長の意識は戻ったのか?」
「ああ」
「離婚の判は押して君宛に送った。だが長男が社長ではあの会社も長くは持つまい。実はここ5年赤字続きだった。社長が株の運用で補填してたのだよ」
 専務は見るところは見ていたのだ。確かに今回調べただけで厳しいのは分かった。本腰で立て直しをしないとホテルのおんぶに抱っこになりそうだ。






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取引(127)

 長男と次男が親会社の幹部会議に出ている。私一人SM館の事務所で今後の対策を練っている。まだ終わったわけではないのだ。このままでは上海から報復を受ける。

「さすがに旨いものだな」
 上海の専務からだ。
「次男に弁護士をつけてくれたそうだな?」
「これからは敵味方じゃなくて互いの利益をどれだけ守れるかです」
「確かに親父も同じ意見だ」
「こちらから提案をします。中で揉んで意見をください。この場に及んで駆け引きはしません」
「取りあえず聞こう」
「金庫のぶつはすべて引き取ってください。資本金は額面通り10億で引き取ります。次男はこちらで執行猶予まで頑張ります。ただし今後の取引はなしです」
「分かった返事する」
 携帯を置くとユミがアイスコーヒーを入れて座っている。
「社長としては長男と3男比べてどう思う?」
 今回はホテルの会社の社長は3男になった。
「そうね。優柔不断なのは長男。3男は軽いわ」
「二人とも叩き上げじゃないからな。今後親会社も厳しいな。この際SM館の会社もどうするか考えないとな」
 朱里が社長を辞めたいと言った言葉が頭に残っている。




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敵に塩を送る(126)

「また厄介なことに首を突っ込んだな?」

 専務行きつけのスナックのソファーに掛ける。
「私ももうすぐファイナンスの社長になります。そう力を貸せませんよ」
「そこまで無理を言うつもりはありません。ファイナンスでもいい付き合いをしないとダメですからね」
 私は車の中でまとめてきた文章見せる。
「さすがに元銀行員だな。ずいぶん前から今回のことを想定してたな?」
「先の後という奴です。専務も同じ手で今回の地位を得たのでしょう?」
 この世界は何が起こるか分からない。先を打たれるのは覚悟だ。でもその対応を考えておくこれを学んできた。
「まず銀行の支払いも含めて例のファンド資金を10億入金します。そこでこの臨時株主総会の決定を実行します」
 長男を社長に3男と経理課長を取締役に現社長は取締役会長に、専務と次男の母親と裏切った役員を解任に。手前の次男を社長とする株主総会を無効とした。
「この案なら受け入れられるな」
 だがこれからが問題だ。上海とどう折り合いをつけるかだ。
「次男の弁護士は?」
「あの弁護士も消えましたわ。どうも次男は売人から買ったと言っているようです」
「彼奴も根っからの馬鹿じゃないわけだ」
「売人を手配しましたが」
「無理だろう。爺さん悪いがこちらの弁護士を連れて次男に会ってほしい」
「敵に塩を送るのですか?」
「次の対策に入る」









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一か八か(125)

 親会社の経理課長から電話が入って長男と出かける。会社に入ると社員が2階の踊り場に群がっている。すぐに経理課長が現れて応接室に案内する。

「今朝から専務が出て来ないのです。実は下請けの支払いが今日なんですが、銀行に連絡を入れると前日にすべて引き出されていたのです」
「逃げたのか?」
 長男が携帯をかける。
「次男の母親も繋がらない」
「とにかく今日の支払先に連絡を入れて支払いの猶予をお願いしてください。親父さんは意識は?」
「動けないが意識は戻っている」 
「病室で臨時役員会を開くのです。法的にはどうかと思いますが、まず会社の息を止めないことです。前回の専務たちの株主総会を否認し臨時株主総会を開くのです。あなたも当然参加してもらえますね?」
 入口に突っ立ている専務側についた役員に言う。ジョージがその後ろから入ってくる。
「どうも朝一番の便に乗ったようです。こちらは金庫ばかりに張り付いていたので。金庫は開かれていません」
「次男を見捨てたな。これから弟も呼んで病院に行きましょう」
「そんなこと可能なのか?」
「一か八かですよ」
 おそらく専務は戻ってこないだろう。これは上海の意志だろう。次男の成り行きを見て上海に戻った専務と交渉になる。そのためには会社を生かせておく必要がある。
「専務私ですが、夜に時間あけてもらえませんか?」
 地元銀行の専務に最期の仕事をしてもらおう。




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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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