刺青
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英語の先生 (23)

 疲れると言うのも聞かないで朱里が寝る前と朝に挑んできた。翌朝は一緒に電車に乗って共稼ぎの夫婦のようの三宮に出る。朱里の勤めている先も聞いてみたいがまだまだ時間をかけるべきだろう気がする。別れて銀行に着くと支店長が相談があると支店長室に上がる。
「代理のことですか?」
「いや代理は昨日付で退職したよ。それで内々に人事副部長から君に代理をと言っている。私は大賛成だが?」
 この臨時の昇格で同期の最先端の出世になるようだ。でもまだ銀行生活に対しては心が揺らいでいる。
「でもそれなら私は検印席に張り付いてしまいます。融資はできませんよ」
「それは困る。それで副部長から話があったのだよ」
 また副部長が動き出したようだ。副部長の動きは専務の動きでもある。専務はここ3年前から合併話を進めているようだ。今の生え抜きの頭取が最後となる噂がある。だが最下位の神戸をどうするのか?
「今の調子だと最下位は免れると副部長は判断している。どうしても神戸の拠点は残したいと。それで次長を送ってきてくれると言うのだよ」
「廃店を免れるなら」
「そう伝えておくよ」
 私は予定の融資の挨拶に英会話の女社長と会うことになっている。三宮の中心街まで歩いて社長室に向かう廊下を歩いていると、教室のドアが開いて社長が顔を出す。なんとその教室で教えているのは朱里ではないか。
「知っている子?」
「いえ」
「うちの有望株なのよ。でもあの黒縁は駄目ね。サブメインだから頼むね。すぐじゃないけどこのビル建替えようと思っている。相談に乗ってよ」






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会い合い傘 (22)

 さすがに大胆な処理だ。副部長には銀行のモラルはない。新聞沙汰にしない、損害を出さないことに徹底している。それでこの後始末自体を自分の評価にしている。ユミは翌日から元気に出社してきている。今度はユミが私のストカーだ。晩飯を奢らせてくれと離れない。代理は朝8時半から6時まで人事に出社してきていて自分の不正の証拠確認をしている。50歳で狂うと人生自体が壊れるようだ。そういう私も朱里に狂っている。
 今夜のソープの予約を入れたらシオンから携帯が入り断られた。無駄な金は使うなと言う。それで11時にいつもの小料理屋で2度目の夕食を約束した。時間つぶしのパチンコは勝てない。10時には時間を持て余して店に入る。
「久しぶりね。浮気ばかりしていたらだめよ」
 女将が母親のように言う。
「シオンちゃん、ナンバーワンになったようよ。店の子が言ってたわ」
「そんなの分かる?」
「指名料の報奨金が出るのよ。それを聞いておいてお客さんに教えるのよ」
 これこそソープのボーイと言う男がやはり待ち合わせなのか入ってくる。その後にシオンが黒縁の眼鏡を外しながら入ってくる。港の見えるホテルに泊まってから朱里が恋人のようにふるまうようになった。それに私も抱くだけじゃなくて一緒にいるだけで幸せに感じている。
 二人で中瓶を3本、お銚子を3本空けた頃に入れ違いに隣の男の彼女が入ってきた。
「ねえ、今晩泊めて?」
 いつの間にか振ってきた春雨に会い合い傘をさして言う。
「汚いぞ」
「周作の臭い好きよ。決心がついたら私の部屋にも来てね?まだ勇気がない」








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自己都合退社 (21)

 翌朝一番に人事副部長と検査部から3名が開店前の支店に入ってきた。支店長は代理の椅子に座って、代理は支店長室に呼ばれている。今日はユミを休ませている。仕方なく私がテラーの席に座る。支店長室の副部長と代理は出前を取って下に降りてこない。まだ行員は事情が呑み込めてないようだ。
 携帯が鳴った。リエからだ。シャッターが下りてから裏口から出て携帯をかける。
「予定通り検査が入った。人事は代理と面接をしている」
「やはり私辞めないとダメだよね?」
「副部長にはサロンの話はしてある。代理がどこまで言うかだが」
「今友達と一緒にアパートに来て荷物を出して、不動産屋で解約届出した。明日どうしたら?」
 声が震えている。
「夜に副部長に聞いてみる。それから電話をする」
「待ってます」
 部屋に戻ると代理が瞬きもせず私を見据えてそのまま出ていく。支店長が入れ違いで降りてきて、
「副部長が代理補を呼んでいる」
と少し安心した声で伝える。
「いや、危機一髪だったよ。検査の数字と代理の申告はほぼ合っている。出納の金が50万ほど。大金庫の記念硬貨を200万抜いていた。検査はもう2日入れるがそんなものだろう。明日から代理は人事部付になる。それで退職金で相殺して退職してもらう」
「ユミのことは言っていました?」
「サロンに勤めているとか。だがストーカーが出てきたら警察沙汰にすると釘を刺しておいた。こういうのは円満解決に限る。これから付き合えよ」








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ストーカー (20)

「これなら廃店を免れそうだよ」
 支店長室に入ったら珍らしく大声で笑っている。今日実行した英会話の融資9700万のことを言っているようだ。
「いえこのままでは廃店は免れないと思います」
「それはどういうことだね?」
「代理です」
「彼はどうかしたのか?」
「テラーのユミさんのアパートに代理はもう1週間住み込んでいます」
「どうして?」
「ストーカーです。彼女は友達のところに泊まっていて相談を受けました。私も話をしましたが、もう線が切れています。調べてみましたがここ6か月で金が合わないことが7度も起こっていますね?」
「足らない分は私が補充してきた」
「どうももっと大きな金額がなくなっているように思います。このままでは」
「どうすればいい?」
 急にいつもの頼りない顔に戻る。慌てて部屋の鍵をかける。
「今日にでも代理の奥さんに会ってください。私は人事副部長と会って説明してみます」
「うまく行くかな?」
「ことが大きくならないうちに本店と話するしかないですね。ユミさんは私が本店に行く時に連れ出すます。代理には気分が悪くなったとでも言っておいてください」
 ユミを呼び出すとそのまま外に出た。







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兄になる (19)

「帰れって言わないの?」
「お兄さんの替わりでもいいと思った」
「なら今晩は港の見えるホテルに泊まりたい」
 しばらく坂道を下っていくと洋館風のホテルがあった。
「ラッキー!いつもの部屋が空いていた。夜は港を見ながらビールを飲んだ」
 そう言ってビールを2本空けると、下着姿になってベットに潜り込む。
「風呂に入らないのか?」
「兄は汗臭いのが好きだった。私も汗で燃えるの。私の仁王を可愛がって」
 朱里は裸になると別人のようになる。
「乳首も舐めて」
「今日も一段と立っている」
「兄はお前のちんぽだと笑っていたわ」
 確かに反り上がるように乳首が立っている。体中を舐め合うので口の中が塩辛くなる。朱里は分かっているらしく2本目のビールを飲むと口移しで飲ませてくれる。朱里は兄と同じことをしようとしている。今度はビールを含んで私のものを銜える。
「大きくなったら私のお尻に入れるの。そうそうよ」
「初めて?」
「ああ、持ちそうにない」
「だめ、もっと頑張るの。首を絞めて」
 生暖かいものが足に飛び散って、朱里が前のように白目を剥いてのけぞる。慌てて顔を揺すぶる。気を取り戻したのか今度は涙を流して唇を吸う。
 ああ、ここから港の夜景がよく見える。










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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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