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公式テンプレートを元に作成しています。 再配布は禁止ですが、それ以外はご自由にお使い下さい。

隠居 (85)

 ジョージが夜に東京のラブホファンドの会長をセットしてきた。70歳くらいの白髪の老人だ。隣に顧問弁護士が座っている。こちらは爺さんに出てもらった。
「こちらで拾って貰いましたわ」
「あの頃はよかったなあ」
 どちらも面識がある。
「これから会社はどうされるのですか?」
「息子の社長は解任します。それで私が社長に戻ってこの話がまとまれば会社を整理します」
「当方も資金の手当てがありますのでこのリストを20億で、もちろんいいものがあれば追加購入ということで?」
 会長はリストに目を通して頷いている。
「いいものを押さえてますなあ。東京の私の代のホテルばかり7棟ですな」
 顧問弁護士がラブホの全リストを出してくる。そこにはチェックが入っている。
「これは私の目で推薦出来るものですわ」
 爺さんが即座に目を通している。
「まだいい物件がありますわ」
「早急に持ち帰り相談します」
 あと20億か30億ファンドがいるな。
「原則人ものを考えています」
「息子の引っ張ってきたとんでもない証券マンにはめられました。整理が終わったら新潟に戻って隠居しますわ」




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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

不倫 (84)

 今日は休みを貰った。朱里に今日はやらないと宣言して蒲団の横の卓袱台でラブホの購入後の組織体制を見直している。今回購入すると数の上では業界2位になる予定だ。この業界はオーナーのみ最高級なのだが、支配人も従業員も恐ろしく所得が低い。申告していない従業員が大半を占めている。日本の未開地だ。支配人はそのため金を抜くことに専念している。
 ようやく支配人の評価をつけることで支配人同士で倍以上の所得差を出した。この評価は私が作って爺さんが手直しをしている。人件費は1.3倍となったが売り上げ増で比率は変わらない。社長は叩き上げの親父のように利益の独り占めをしないのが助かる。
「元気になったから外に出ない?」
「やらないぞ!」
「久しぶりに新開地のおばさんの店に行かない?」
と言うことでタクシーを呼んで新開地まで走る。
「シオンちゃんSM館の社長になったのね!」
 ジョージの風俗誌を拡げて仁王の写真を見せる。
「あんたはひもやってるんじゃないの?」
 おばさんにかかると私はボーイのままだ。仕方なく頭を掻いて朱里の口を塞ぐ。周りにソープの女の子がいて憧れるように見ている。
「いい旦那見つけたんやね」
「そう、隠れて不倫しているから内緒だよ」
 朱里も楽しそうに話に乗っている。いつまで元気な彼女と暮らせるだろうか。





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貧血 (83)

 ホテルのまとめ買いの話は社長の耳に入れた。爺さんにも話して前の同僚とも東京で会って貰った。その足で向こうの柱のホテルを10棟ほど廻ってもらっている。地元銀行のファイナンスの保証もとってホームページにアップした。保証なしの8%も並行して募集する。取り敢えず20億からファンドを組むことにした。それで採算の悪いホテルを10棟売却をした。
 爺さんから携帯が入った。
「ご苦労さん」
「現場の支配人と一杯やりましたわ。どうもかなりよくないホテルを買い込んだようで、彼も今月辞めると言っていますわ」
「彼に人を集めてもらえないだろうか?」
「それは喜んでしますわ。ところで彼から持ち物件のリストを貰ってお値打ちをマークしてもらい回る予定です。初期から親父が持っていた30棟ほどはいいのですが、ファンドを組んで買ったのはだめですわ」
「そのリストを持って早い目に帰ってくれ」
 マホから携帯が入った。
「朱里さんが倒れたのです。今病院で見てもらっていますが、帰るというのでこちらに来てください」
 慌てて病院をメモして飛び出してタクシーに乗る。
「どうしたんだ?」
「貧血。もうよくなったから」
 朱里の顔はまだ青白い。マホが項垂れている。オープンのショーの練習をしているのだがユミの報告では真剣な生出しをしているという。
「今日は帰ろう」
 朱里の肩を抱いたが一回り痩せたように思う。








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倒産情報 (82)

「支店長は?」
「前もって飛行機を押さえていたようです」
 ユミが事務所で報告をすると部屋を出ていく。ジョージがマホの代わりに今度は若い女の子を入れた。マホの類ではなく正真正銘の女の子だ。やはり風俗にいた子だそうだ。
「発行部数は?」
「5万部に乗りました。ここまで来ると関西では一番ですよ」
「ホテルの広告と風俗の人材派遣でフリーペーパーで飯が食えるとはなあ」
「面白い話が入ってきていますがどうですか?」
 彼は昨日東京に出かけてきた。彼は風俗の女やボーイやバンドなど30名ほどの情報源を持っている。助手の女の子が気を使ってアイスコーヒを入れてくれる。
「社長彼女はだめですよ。レズですから。どちらかというと仁王を狙っていますね」
「俺も含めてまともなのがいない。でその話は?」
「東京のラブホチェーンで業界2位の会社です」
「ラブホファンドを始めた老舗だな」
「よく知ってますね」
「爺さんが一時いたところだ」
「実は最近ファンドの焦げ付きが噂されているのです。私の知ってる限りここ3年でファンドで200棟ほどのラブホを仕入れてます。だが購入の役員が証券会社の素人なのです。実質利回りが10%を割っているという話です」
「一度繋いでもらおうか?」







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時代の流れ (81)

 取引は地元銀行の本店で行う。やはり現金取引を伝えてきた。私と社長とが部屋に入って相手方は社長と人相の悪い男が支店長の横に座っている。ユミが制服を着てお茶を運んでくる。双方の司法書士が登記書類の確認をする。支店長がユミの顔を見てびっくりしている。ユミはSM館の支配人だ。
「問題なければ現金を運んでもらいます」
 現金が運ばれてきた時支店長がトイレを借りたいと言い出した。こういう機転は聞くのだ。ユミが現金を抱えた男の横をすり抜けて銀行内を案内する。このストーリーは専務の許可を貰っている。取引が終わると支店長の価値はなくなる。私達が立ち上がると彼らも急いで出てゆく。支店長が消えたことにも気づいていない。
 私は社長の車から途中で降りて鞄を抱えて海側のホテルで降りる。
「ご苦労さんでした」
 ドアを開けると支店長が苦笑いしながら出迎える。
「3000万あります。これからどうするのですか?」
「しばらく香港でも行って来ようかと」
「いいですね。一度娑婆の垢を落とすのはいい時期ですよ。ユミが一晩付き合うと言って来たのでこんなストーリーにしました」
「元彼ですから」
 ユミが風呂場の湯を入れてきてもう下着になっている。
「どうも銀行は再合併だそうです。今度は誰も残れないと専務が言っていました」
「これが時代の流れか」
「私もどこまで走れるか分かりません」
とゆっくりドアを閉めた。





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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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