刺青
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公式テンプレートを元に作成しています。 再配布は禁止ですが、それ以外はご自由にお使い下さい。

見えぬ影(105)

「帰り飲まないか?」
 本社から長男の社長から携帯が入った。珍しく港の近くのホテルのレストランだ。
「最近は本社の方が忙しいのですね?」
「いや、今回の件があって親父が会長になることを決めた。もう70歳を超えて前々から話があったんだ。身内の話だが次期社長については次男を押す母と専務の力が強くて私としてはホテルで身を立てようと思っていた。が事態が大きく変わった。3男が同時にホテルの社長を継ぐ。君を専務に押す気でいる。でも不満だろうな?」
「それは気にしていません。もしわがままを言わせてもらうなら、SM館とニューハーフ館を返済を背負って」
「あれは君の代わりに朱里が代表をしている。親父の資金も使っていない。私の持っている株を譲ろう」
「すいません」
 朱里やユミやマホの築ずいた城だ。
「ところで専務は親父さんの弟なのですか?」
「弟じゃない。だがこれはもう少し言えない。私が盤石な社長にならないと」
 どうも複雑な家族関係のようだ。
「3男は私の亡くなった母の妹の子だ。母の後妹と暮らしていた時期がある。その頃に一度会社が潰れかかった。それで今の母がやってきた。きっと君の力を貸してもらう時期が来ると思っている。そのための逃げ場所を持っておいてほしいんだ」
 何かがが動き出しているのだ。
「いつでも使ってください」




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妊娠(104)

 爺さんの推薦でソープの総支配人をホテルから送り出した。込み込み18億で本社の承諾も採れた。ジョージが入って女の子を過半数入れ替える。それで大々的に人材募集をする。それがいい宣伝になるのだそうだ。それでSM館の売れっ子を看板でしばらく貸し出した。
「最近代理朱里を抱いた?」
「報告しないといけないのかな?」
 ユミは銀行時代のそのままの気持ちでいる。そう言えば朱里より早くユミを抱いていた。
「朱里最近おかしいと思はない?」
「そう言えばアナルばかりする」
「そんなんじゃないよ。妊娠したんじゃ?」
「それはない。前から避妊薬を飲んでるぞ」
 それが私の不満だ。
「彼女代理とするときは飲んでないようなこと言っていた。マホの時は飲んでた」
「分かった。しばらく内緒にしていてくれ」
 ユミが出るとジョージが入れ替わりに入ってくる。
「今朝専務が次男を連れて上海に行ったそうです。荷物持ちにダチがいますから何か分かるかもしれません」
「ソープの方は?」
「結構いいのが来ましたよ」
 だがどこか上の空だ。

 


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因縁(103)

 ジョージを呼び出して本社専務、謎の男の調査を依頼した。どうも気にかかるのだ。これは動物的な感というものだろう。大阪に向かう電車の中で爺さんのソープのレポートを読む。4軒の販売額を決めないといけない。現在不正を止めた売り上げでは16億というところだ。
 ファイナンスの営業本部長の応接に入る。調査役と課長が並んで座っている。すでに物件資料は渡している。彼らは審査の内容を述べ立てて席を立つ。
「融資は決めた。18億だ」
「購入先は?」
「今呼んでいる」
 ドアが開いて日焼けした支店長の顔が覗く。
「充分休暇を取ったから呼び返した。彼とは因縁があるのだ。だがオーナーは私だ忘れないように。運営指導・内装費として2億積んだ。これが条件だがやれるかな?」
 2年間の間に前の社長時のピークの売り上げに戻す。彼はそうしてホテルも5棟ほど持っている。なかなかのやり手だ。
 話がすんだら3人でクラブに行く。
「俺はすっかり表札だな」
「まあじっくり仕事はしてもらうさ」
「面白い話があれば乗せてくれ」
 彼はもう銀行に戻る気もないようだ。銀行では将来の頭取とまで言われた男だったのだ。私はユミに言われるように代理のチンピラだ。




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謎の男(102)

「裏切られましたよ」
 3男が部屋に入ってきて呟く。これからジョージと組の事務所に向かう。昨夜のマホの件を言っているのだろう。あれから4人でホテルで飲んだ。相手を決めるのにコインをマホが投げた。それで私がマホと寝ることになった。
「あれはいかさまコインだった」
と3男はコインを投げてくる。
「社長は2億もの裏金を持っているのか?」
「ああ、昔から裏金が好きでね。ただそこのところはあの弟の専務がやっている。戸籍を見たが弟ではない」
「謎の男か?」
 ジョージから携帯が入る。表に車を回したという。
 湾岸を走らせて1時間と少しで組事務所に付く。そこに不貞腐れた青あざの次男が椅子に縛られている。私は長男に携帯を入れてこちらの裏口座を教える。
 そばで親父の声がする。連れて帰って来いという声が聞える。
「1億7千万」
「それでいいのか?」
 元々1億5千万を予定していた。これは将来への投資だ。いずれ彼らと接触することが必ずこの業界では起こる。




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家族会議(101)

 噂では聞いていた豪邸の応接室に夜中の9時に呼び出された。ここに住んでいるのは親父と長男と次男と次男の母である。3男は大学の時から出て行って戻ってきていない。それに専務の親父の弟がいる。ひとしきり淡々と1時間かけて事実関係を説明するのが私の役目だ。
「本当に息子が?」
「組に出かけて行って直筆の証文も確認済です」
 親父は腕を組んだまま仁王のように動かない。
「警察に訴えたら?」
 専務が口を挟む。
「殺すかもしれません」
「それはできん」
「ソープは?」
「撤退がいいようです」
 長男が口を開く。
「2億で済ませろ」 
 当然組とは刑事事件も検討と答えている。刑事事件では1円にもならない。彼らには厳しめに伝えて将来の恩を売っておきたい。
「お前が甘やかすからだ。これが彼奴の相続の前渡しだ」
 玄関を出ると3男が肩を叩く。車が近づいて来てマホと見知らぬ顔が見える。



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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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