刺青 朱里倒れる(137)
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朱里倒れる(137)

 妙な気分だ。あの女のアナルの中は朱里そのものだ。だが心は違う。
 朝二人と別れて東京に来ているジョージと会う。新橋の雑居ビルに東京の編集室がある。
「マホに襲われましたか?」
 ジョージはマホを愛しているが、マホは相手にもしない。男と男も難しい。
「ニューハーフ館とSM館ができる。フリーペーパーの準備も頼む」
「おそらくオープンまでには東京も10万部になりますよ。今は彼女がこちらの編集長です。社員は2名、フリーターが7名います。風俗誌では5位の位置には来ています」
 3人が立ち上がって頭を下げる。
「彼女は先月まで風俗嬢をしていました。ユミの『魔女の館』の準備も頼まれているのです」
「金がいくらあっても足らないな」
「今いい?」
 ユミの声だ。上づっている。
「どうした?」
「急に嘔吐をして救急車を呼んだ。何も悪いことをしていないよ」
「それはいい。病院に着いた?」
「ええ診察も済んで寝ているわ。でもすぐに戻ってきて」
「分かった今から新幹線に乗る」
 もうジョージがタクシーを呼んでいる。
「今夜はみんなで飲もうと思っていたがすまん」
 心はもう朱里のところに飛んでいる。




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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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