刺青 捨て駒 (48)
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捨て駒 (48)

「支店長、それは不味いですよ」
 地元銀行の本店から出てきて喫茶店に入る。今日は本店営業部長が入って2度目のファイナンスの20億の申し込みだ。どう見てもこれもあの不動産会社への支援融資だ。
「利払いが滞っているんですよ」
「まだ一部だろう?」
「いえ。これ以上踏み込んだら専務からの要請では言い訳できませんよ。専務も地元銀行の状態はご存じなんでしょう?」
「ああ、だからこそチャンスだと考えている。それに内緒だが、本店のメインの不動産会社も利払いが出来なくなっている。どちらが崩れるのかの勝負になっている。ここはひと踏ん張りだ」
「これをやるなら辞表を先に出しますよ」
 私はそれだけ言うと外に出る。これは支店長室の調査役の話だが、新会社の役員の末端に支店長は入っているようだ。
 その足でクリエイトの社長に会いに行く。現在新しいホテル群を引き取りを始めていて、隣の部屋に業務部を設けて社員を外から3名入れて6名体制にしている。
「この机が君の椅子だよ。取締役業務部長だ座ってくれ。それでこちらに来るのはいつくらいになる?」
「あの女性社長の不動産会社の情報は?」
「株価がストップ安だ。どうも社長が東京で共同事業でしていた地上げが失敗したようだ。ワールドにはもう任意売却のビルのリストが来ている」
 これは思ったより崩壊が早い。支店長の性格からするとここは強引に追加融資を受けるだろう。この稟議を書くのは不味い。それに追加融資を実行しないと利払いが止まるだろう。それは最悪の事態だ。専務はどうするだろう。彼は合併を優先するだろう。頭取の目が出てきている。だがこの融資の責任は?これは捨て駒にされる。






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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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