刺青 歪み (50)
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歪み (50)

 支店長が専務から呼び出されて朝から本店に直行している。入れ替わるように人事部長が支店に入ってきて、支店長室の調査役を追い出して2階に呼ばれる。
「今回の追加融資を断ったらしいね?」
 人事部長は取締役で専務派の重鎮の一人である。ただ支店長のような策謀には参加しない。どちらかと言うと穏健な人物と見ている。
「さすがに今の会社の状況では融資の対象にはなりません。いくら合併にと言っても限度があります」
「それはよく分かるな。ここだけの話だが、今回の合併は無理がありすぎる。専務ともその話はしている。ある意味支店長が橋渡ししているのが気になる」
「本店ではどうなのですか?」
「確かに合併は銀行の流れではある。それで3年前から具体的に交渉を続けてきた。この話を持ってきたのは当時の日本橋の支店長だった。その頃の相手側の支店長が今の営業本部長だった」
 確かに支店長は本部長とかなり濃厚に付き合っていた。
「どうも二人の間で密約があったと思っている。それに専務にもそれに乗る焦りがあった。中央から頭取の天下りの話があった。この融資はどう思う?」
「命とりですね。支店長にも伝えましたよ」
「そうか」
 部長は天上を見あげると首を何度も振った。
「降りたら次長に上がってくれと伝えて」
 どうもすんなりと合併は難しい流れになっているようだ。





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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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