刺青 先手必勝 (54)
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先手必勝 (54)

 人事部長から直接携帯に電話があった。どうも実行して間もないあの不動産会社が利払いをストップしたのだ。支店長が私が強引に稟議を上げてきたと言ってるようだ。やはり危惧したことが起こった。人事部長は暗に辞める準備にかかれと言っているようだ。彼には退職の意思は伝えてある。今日付けの退職届を人事部長宛に送る。
 支店長は朝から地元銀行の専務に会いに行っている。どうも今回の融資を単独で私がしたという根回しをしようとしているのだろう。ここまでされなかったら黙って自己都合で退社を考えていた。合併絡みの上層部の争いを表面化できないと踏んでいた。だがここに来たら先手必勝だ。ユミにメモを渡す。それからジョージを昼の時間に呼び出す。
「盗撮をしてくれ」
 そう言って支店長の写真を見せる。
 すぐにユミから携帯が入る。支店長をスナックに呼び出してすぐに指定したホテルの部屋に入るとのことだった。部屋番号をジョージに渡す。
「ワクワクしますね」
 彼は嬉々として出かける。私は地元銀行の本部長に面会を申し出る。彼は待っていたようで応接室に入れる。
「利払いが止まりましたね」
「迷惑かけるな。今君のところの支店長も専務室に入っている」
「私は覚悟しています。そちらは?」
「合併は行政の指導の元行うことになった。専務はもう新銀行に名前はないだろう。そちらの銀行の方が形勢はいい。だがどちらも頭取の目はなくなった」
「融資の依頼は?」
「それは支店長だ。専務から依頼を受けた双方の担当者が事務をこなした。私も君も担当レベルでは融資に反対していた。これは公表するさ。すでに専務はファイナンスの社長で私が頭取派と根回しした」
「怖い世界ですね?」
「叩き上げで出世するのは綱渡りのようなものだよ」






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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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夢人です。『ぽろんの女』の短編を書き下ろしてふと震災後にその街を訪ねました。それであの頃の日記を開いてみました。この街で刺青の仁王と暮らしたことが。

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